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童心に戻る

歳をとると童心に戻ると言われるが、自分でもそれは本当だと思える。
人は成長する過程で、模倣し、吸収し、反抗して自己形成をし、社会生活の中で自己実現を続けていくが、歳をとり、社会生活から退いて、周りの人たちを天国に見送る経験をし、自分の衰えを感じるようになってみると、本当の自分の良さ、足りない面を見つめるようになる。
周りの人の素晴らしさもよく見えてくる。

生まれたときに自然が与えてくれた自分。死のときに持っていく自分。
幼子の心でもう一度見まわしてみると見える世界の陰影が一段と深くなる。
自然の中に占める人間の素晴らしさ、おぞましさ。
計り知れない自然の力。

今私は大切な時を一期一会の気持ちで味わっている。
あたたかな冬の日差し。一杯のお茶。布団のぬくもり。風のそよぎ。花の色、空の色。音楽の不思議。
月の変化。雨の雫。そして人の暖かさ。
半面、今世界で苦しんでいる方々のことを思う。
  ただ祈るばかり。
与えられている現状に
  感謝するばかり。